高偏差値エリートの医学部離れが進んでるそうです。
週刊ダイヤモンド 2021年 10/9号 [雑誌] (医学部&医者 2021)

↓ここでも少し読めます。

曰く、なんでも「受験が易しくなり大チャンス到来!」だとか。
もちろんあくまで週刊誌の言い分なので割り引いて見ないといけませんが、この流れがほんとうだとするといよいよマズイなと感じます。
江草自身「医学部に入るのは勧めない」という内容の記事を過去に書いてることもあり、いよいよバレたかと。

医師不足、医療崩壊が叫ばれる中、医学部入学者の定員を絞ってきた言い分として、「優秀な学生を厳選して医師の質を保つため」というエリート主義がひとつ根強かったように思います。
ただ、これは「医学部が優秀な学生が集まる人気学部であり続ける」という暗黙の前提を伴ってるんですよね。
もし、ほんとうに高偏差値エリートの医学部離れが進んでるとすれば、そのエリート主義的な前提が崩れつつあつ予兆なのではないでしょうか。
医学部が不人気学部[1]不人気と言わず中人気程度になるだけでもになるなら、「優秀な学生」[2] … Continue readingに見限られたというわけで、医師への道の入り口を絞ることで人員の優秀さを保とうとした戦略そのものの瓦解です。
だから、こうしたエリート主義戦略を採るならば、「医学部が人気学部であること」を維持し続けないといけなかったはずなんですよね。
にもかかわらず、あまりにもその対策を怠ってたというのが江草の印象です。
たとえば、本誌には日本専門医機構の寺本理事長のインタビューも掲載されてますが、こうした医学部人気の陰りを示す特集の中で
これまですでに専門医を取得している先生にも、次回の資格更新要件として地方勤務をお願いする制度について議論しているところです。
『週刊ダイヤモンド 2021/10/09』p63
とか
医師を守るという意味では、診療科ごとの医師数の調整は必須です。
『週刊ダイヤモンド 2021/10/09』p63
などと言ってしまうことの意味は理解されてるのでしょうか。
これらは「うちの業界では働く場所は選べないですよ」「働く科も選べませんよ」と医療界自らわざわざネガティブキャンペーンを張っているようなものです。
もちろん、「医師の偏在」は確かに難しい問題であり、言ってることが荒唐無稽とまでは申しません。
ただ、そうやってただただ束縛を強化することが医学部忌避を助長している危険性については、ちゃんと考えられてるのでしょうか。
本誌では若手医師のFIRE志向についても触れられてます。
これもどこまでほんとか分からないような話ですが、確かにTwitterを眺めていてもFIRE志向の医師アカウントは多い印象はあります。
となると、医療界は受験生どころか若手医師からも見限られてるおそれがあるわけで、これが医師という職業の人気の凋落の兆しとすれば由々しき事態と言えます。
また、本誌でも触れられてる「2024年問題」を目前にしても、医療界の働き方改革は遅々として進んでません。
なんなら、「やっぱ当直は労働時間じゃないことにしようぜ」などとエラい先生が誤魔化そうとし始める始末です[3]なお、後日この文面は差し替えられてるようですが。
これで医学部人気が出ると考えるほうが無理でしょう。
受験生やその親御さんも、人生がかかる選択なのですから、当然こうした業界内の問題にも敏感です。
それこそ、こうした週刊誌を読むなどしてアンテナも張ってるはずです。
ここで「受験が易しくなり大チャンス!」と無邪気に言われてしまってることに対して、医療界は危機感を持つべきではないでしょうか。
「急な働き方改革を進められては現場が回らない」と抵抗は根強いですが、それこそ不人気学部になったらよほど医療界の未来はないと思います。
情報社会なのですから、医局の無給医問題、働き方改革の進捗や専門医制度の動向も含めて全部見られてると思って医療界は気を引き締めねばならないでしょう。
以上です。ご清読ありがとうございました。
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