山口周 著「ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す」速報レビュー

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おはようこんにちはこんばんは、江草です。

今日は、山口周氏著の「ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す」という書籍の速報的レビューです。

本書の提示されてるテーマが大変興味深かったので、早速発売日[1]2020/12/21発売に購入。早く氏の主張の概要を掴みたかったので、少々速読気味に読了しました。

結論から言えば、なかなかに良い本で、これからの時代に非常に大事なことを提言されてると思います。

精読の上でのレビューではないので読みが甘いところもあるかと思いますが、雰囲気を早くお伝えしたく、簡単に感想を述べさせていただきます。

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ビジネスどころか社会の未来をも見透す意欲作

本書の主軸は私たちの資本主義社会が「生産性の向上」や「経済成長」の限界にきていることを指摘しているところにあります。

その根拠の詳細は本書に譲りますが、これだけ世が発展したにも関わらず、「働けど働けど暮らし楽にならず」な石川啄木の時代からほとんど変わらず続いている、生活の閉塞感に、誰しも矛盾は感じているのではないでしょうか。

そんな右肩上がりの成長が終わり、プラトー(高原)に達してきたこれからの時代、ビジネスや社会はどうあるべきかを本書は丁寧に提言しています。

この状況を指し示した本書の「高原社会への軟着陸」という表現はうまいですね。急に全てをガンと変えれば失速して墜落しますから、どうやってこの「成長前提の社会」から「成長が緩やかになる社会」へソフトランディングさせるかが鍵となるわけです。

そこで「人間性原理=ヒューマニティ」を経済のロジックに埋め込もうというのが、本書の主要な提言です。

数値や将来の利益ばかり計算する「市場原理」や「合理主義」のロジックに、うまく「喜怒哀楽に基づいた衝動」や「今この時の自己充足」を伴った人間的なロジックを取り込むべきと本書は説きます。

具体的には「真にやりたいことを見つけ取り組むこと」「真に応援したいモノ・コトにお金を使うこと」「ユニバーサル・ベーシック・インカムを導入すること」などを策として挙げられています。それぞれ詳細は書を読んでいただきたいのですが、丁寧に説得力を持って説明される各提言は、確かに人間的で魅力があり、そしてこれからの社会に必要なことだと感じさせられます。

実際、医療にも「効率化」「合理化」が及んでる

実際、江草のメインフィールドでもある医療分野においても「効率化」や「合理化」の圧力が及んでいることに恐怖を感じます。

医療は最も「ヒューマニティ(人間性)」が求められる分野の1つのはずだと思うのですが、コスト削減や回転率を重視した結果、患者さんは数時間待って数分しか診察してもらえないし、医療スタッフは少ない人員で身体にムチを打ちながら働いています。

こうした人間性が必須の医療分野でさえも経済合理性に蝕まれてる惨状を見れば、本書の主張する「人間性を取り戻すことの重要性」はひしひしと感じられるのではないでしょうか。

惜しむらくは財政均衡へのこだわり

さて、基本的に同意と共感だらけの本書ですが、一点「ん?」と、ひっかかったところがあります。

それは、租税強化による財政均衡の必要性を説く部分です。

既存の経済価値観からの脱却を説く本書だけに、便宜上の架空の経済指標に過ぎないプライマリー・バランスにこだわってるのはもったいないと感じました[2]昨今ではMMT派がプライマリー・バランスにこだわる財政政策を強く否定していることで有名です。同類の便宜的指標である「GDP」についてはその限界を指摘していただけに、惜しいです。

とはいえ、確かにまだまだ論者の間でも評価が定まってないテーマではありますので、政府の財政の考え方や租税の役割については、まだまだ今後社会的に議論を進めていく必要があるのでしょう。

【まとめ】「好きなことして生きていけ」とエールを送りあえる社会を

誰もが安心して「夢中になれる仕事」を探せる社会を、と説く本書。

今の社会の矛盾や限界を慧眼をもって指摘、その上で魅力的な提言をなさっており、価値ある一冊と感じます。

Youtubeのキャッチコピーの「好きなことして生きていく」はとかく揶揄にされがちですが、本書の内容を踏まえると、本当は「好きなことして生きていけ」とエールを送りあえる社会こそが、人間性を取り戻した私たちが目指す社会なのかもしれません。

 

以上です。ご清読ありがとうございました。

脚注

脚注
1 2020/12/21発売
2 昨今ではMMT派がプライマリー・バランスにこだわる財政政策を強く否定していることで有名です

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