資産運用における脱資本主義リスク

グラフのイラスト経済

おはようこんにちはこんばんは、江草です。

今日は、資産運用における脱資本主義リスクについて。

 

好調な株価

江草は、年一回、確定申告の時期に合わせて自分の資産運用を見直すことにしています。時々メンテンス的に運用状況を調整する、いわゆるリバランスですね。堅実な長期積立投資派なので、たまの調整で済ませています。

それにしても、コロナ禍にも関わらず株価が驚くほど好調です。

投資をしている人はほぼ全員ホクホク顔をしていることでしょう。普通の資産運用[1]ショートポジションを狙うような人は投機してる人扱いと見なしてますをしていて損を出している人は、コロナに恐れおののいて投げ売ってしまった人か、バブル高値から持ち続けているベテランぐらいしかいないのではないでしょうか。

コロナもどこ吹く風で株価が好調な理由として、世界的にマネー供給が豊富であることが言われてるようです。実体経済との乖離が批判されつつも、コロナ禍というショック状態に対して、経済の血液たるマネーの供給を止めるわけにはいかないのでしょう。

 

資本主義社会では投資は有利

実際、最近、投資を解説する言説や投資に興味を持つ人が増えてる印象があります。この好調な株価を見れば無理もないかもしれません。

もちろん、投資にはリスクが付き物ですので、この右肩上がりの状況が必ず続くとは断定できません。

しかし、利益拡大や経済成長を追求する「巨大な力」が株価の原動力であることを考えると、この資本主義社会にあっては基本的には長期投資の勝ちは約束されているようなものでしょう。

全力で投資に注ぎ込むのは考えものですが、何も投資しないのもよほどリスクなのは間違いないと思います。

 

陰に潜む脱資本主義リスク?

ただ、長期投資の隠れたリスクとして江草が最近気にかけているのが「脱資本主義リスク」です。

さきほど「資本主義社会にあっては投資は有利」と言いました。それは逆に言えば、資本主義社会という前提が崩れ去ると投資は危険という意味でもあります。

それが脱資本主義リスクです。

 

脱資本主義なんて起こるはずがないと思われるでしょうか。

ですが、最近では資本主義のあり方に暗雲が立ち込めてるのも事実なのです。

2点ほど今後の脱資本主義の動きにつながりかねない要素を挙げてみます。 

 

格差の拡大

1つ目は「格差の拡大」です。

「オキュパイ・ウォールストリート運動」も既に10年前。

最近では経済格差の問題を聞かない日はなくなりました。

格差拡大の根本原因は、資本主義の「お金を持ってる人のところにお金が集まる特性」にあると言われています。

脱資本主義論者とまでは言えませんがアメリカの代表的な格差是正派のサンダース議員も先の大統領選で奮闘が伝えられるなど、資本主義による格差の拡大を批判する動きが強まっているのは確かでしょう。

今後もしさらに格差の拡大が収まらなければ、もっと急進的に脱資本主義が訴えられる可能性も否定はできません。

 

環境破壊

2つ目は「環境破壊」です。

長年警鐘が鳴らされているにもかかわらず、地球温暖化や森林破壊が止まりません。

最近ではNHKスペシャルでも特集をやってますね。

2030 未来への分岐点 (1)「暴走する温暖化 “脱炭素”への挑戦」 - NHKスペシャル
持続可能な未来を模索するシリーズ「2030 未来への分岐点」。第1回のテーマは新たなフェーズに入った地球温暖化。このままいくと早ければ2030年にも、地球の平均気温は臨界点に達するといわれている。それを超えていくと、温暖化を加速させる現象が連鎖し暴走を始める可能性が明らかになってきた。その時、私たちの暮らしはどうなるの...

今や、環境破壊や気候変動への対策は世界的な喫緊の課題として掲げられており、あのSDGsでも重要視されています。

環境破壊が止められないのは「資本主義社会の利益の追求する姿勢」が根本原因にあると長らく批判されています。

批判を受けて、なんとか「エコな資本主義社会」を目指すべく多くの人が頑張っているわけなのですが、どうも成果がイマイチな印象は否めません。

今後も環境問題の解消の道筋が立たない状況が続くならば、結果的にもっと急進的に脱資本主義が訴えられる可能性はありえるでしょう。[2] … Continue reading

 

「資本主義は不滅かどうか」に賭けるギャンブル

このように「格差の拡大」や「環境破壊」の問題を眺めると、資本主義社会に限界があるように感じられます。

もちろん、「資本主義に問題があるからといって共産主義はもっと嫌」というのが江草も含めほとんどの方の意見と思いますし、まだまだ脱資本主義が支持を得てるとは言い難いです[3]資本主義でも共産主義でもない第三の道はないものかと江草はよく夢想しています

しかし、資本主義の特性がどうしてもこのような問題を引き起こすのだとすれば、各自の努力である程度問題の進行を減速することはできたとしても、いずれは問題が抑えきれないほど膨らみ社会が破綻してしまう可能性は否めません。

「脱資本主義」は、もはや「南海トラフ巨大地震」のように、既に「いつ起きるか」の問題であって、「起きるか起きないか」の問題ではないとさえ言えそうです。

 

格差の拡大や環境破壊を引き金に、世界的に脱資本主義が進んだ場合には、さすがの株価や長期投資も凋落をまぬがれることはできないはずです。

この状態は、まさに「脱資本主義リスク」でしょう。

 

ただ、「資本主義の終わりを想像するより世界の終わりを想像する方が簡単だ」という皮肉めいた名言も伝わる通り、基本的には資本主義というシステムは極めて堅牢な存在と考えられています。

だから、当面は「資本主義は大丈夫」と考えて、多くの人が勧める通り「堅実な資産運用」をしていくのもおかしいことではありません。

しかし、「脱資本主義リスク」が消えてなくなることもまたないでしょう。

 

そう考えると、投資はもはや「資本主義は不滅かどうか」に賭けるギャンブルなのかもしれませんね。

いやはやなんとも悩ましいことです。 

投資はみなさん自己責任でお願いします。

 

以上です。ご清読ありがとうございました。

脚注

脚注
1 ショートポジションを狙うような人は投機してる人扱いと見なしてます
2 たとえば『人新世の「資本論」』を書かれた斎藤幸平氏は、「資本主義を止める以外には環境破壊を止める術はない」と、脱資本主義を強く提起されています。
3 資本主義でも共産主義でもない第三の道はないものかと江草はよく夢想しています

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