「あいつはお金儲け目的だから」という詭弁が多用されすぎ

クリティカルシンキング

世の中どうも「あいつはお金儲け目的だから」という批判のロジックが多用されすぎに感じます。

お金儲け目的だったとしても、やってることや言ってることが妥当なのであれば問題ないはずです。

批判したいのであれば、「お金儲け目的かどうか」という論点ずらしではなく、もっと本質的な、やってることや言ってることそのものの正当性を問うべきだと思うのです。

 

もちろん、その個別の事例の問題ではなく、「その行為でお金儲けをすることは妥当なのか」という全体のシステム視点から議論を開始することはできます。

しかし、その場合も、まずは「その行為でお金儲けをすることが妥当ではないこと」を示してからでないと、問題の個人を批判する段階には到達できません。

 

で、往々にして「その行為でお金を儲けることは妥当ではない」と示すのは案外難しいことが多いです。

「お金儲け」というと最初からネガティブイメージが含意されてる言葉ですので、中立的に「十分な報酬を得ること」と言い換えてもよいでしょう。

つまり、「ある人がある行為から少なくない報酬をもらっていること」を見て、「あいつは少なくない報酬を得ているから(悪い)」と批判するには、先に「その行為から少なくない報酬をもらうこと」が妥当ではないことを示す必要があります。

 

たとえば、よくあるケースは政治家の報酬についてです。

政治家の報酬が高すぎると言って、批判する意見はしばしばあります。

しかし、選挙の供託金でもなんでもそうですが、政治家が何かとお金がかかるのは明らかです。

それなのに報酬を削減するとどうなるかと言えば、最初から何らかの理由でお金持ちでないと政治家になれないことになります。

つまり、富裕層ばかりが政治家になり、貧困層に近い層からは政治家が生まれにくい作用を生じさせます。

それで本当に公正な政治が行われるかは疑問が残るでしょう。

 

あるいは公務員でもそうです。

公務員の報酬が高すぎると言って、批判されます。

しかし、公務員の報酬が低すぎると、優秀な人材が入らなくなるかもしれませんし、不正や賄賂の誘惑に負けやすくなる可能性はありえるでしょう。

 

もちろん、ここで提示した反論は単純で一面的ではありますし、さらなる議論は必要なところです。

ただ、「報酬が高すぎる」と批判するのが案外難しいことがあるのはお分かりいただけるのではないでしょうか。

 

 

つまるところ、「あいつらはお金儲け目的だから」のロジックを多用するのは、「お金儲け=悪」という世のネガティブイメージにかこつけて、丁寧な議論をサボりたいだけではないでしょうか。

「とりあえず非難したいからそれっぽい理由をつけてるだけ」に感じます。

要は、手抜きで、詭弁です。

 

単純に誰かを非難したい時や、議論での反論に窮した時に、「あいつはヒトラーと同類だ」と言い始めるのも有名な詭弁で、「ナチスカード」や「ヒトラーカード」などと呼ばれます[1]wikipedia-ヒトラーに例える論証

それと同様に「あいつはお金儲け目的だ」と言って簡単に批判した気になってる「マネーカード」も、そろそろ詭弁として認知されるべきじゃないかなと思います。

 

以上です。ご清読ありがとうございました。

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