松村むつみ先生の「自身を守り家族を守る医療リテラシー読本」読んだよ

本のイラスト医療

昨日、るな先生のご著書を紹介しましたが、それならこの方のご著書も紹介せねばと思い立ちました。

いわば「学術総会直前特集」ということで、続けざまにいっちゃいましょう。

今日は松村むつみ先生の「自身を守り家族を守る医療リテラシー読本」の感想文です。

 

自身を守り家族を守る医療リテラシー読本
自身を守り家族を守る医療リテラシー読本

 

松村むつみ先生(@ichigumapanda)は、放射線科医でありながらジャーナリストでもあるという異色の働き方をされてる方です。

寡聞にして他に放射線科医でジャーナリストされてる方を江草は思いつかないです。少なくともかなり珍しい存在であることには違いないでしょう[1]放射線科医兼政治家ですら何名かいらっしゃるのに

独特の立ち位置を示されてることから、江草も普段から注目してる方の一人です。

攻撃的な発言は避け、丁寧にバランスの良い発言をされる方の印象を持ってます。

 

そんな松村先生が出されたご著書「自身を守り家族を守る医療リテラシー読本」。

あくまで一般向けの冊子なのですが、江草も「松村先生がこのテーマをどう仕上げられるのかな」と興味があったので、以前購入しました。

 

一言で言えば、「医療リテラシー」、すなわち「医療や健康情報と上手く付き合うスキル」を学べる書籍です。

江草としては、扱う内容の幅広さにまず驚きました。

「医療リテラシーが必要な理由」から始まり、「医療情報の特徴」、「エビデンスレベル」、「バイアス」、「利益相反」、「情報源の選び方」などが続き、果ては「感染症・放射線・がんの各論的知識」や「病院のかかり方の考え方」まで。

目次の時点で、情報の豊富さに圧倒されます。

 

もちろん、医師ならそれぞれなんとなくは知ってることではあります。

しかし、これだけの広範な知識を、正確に、しかも一般の方が分かるように文章に落とし込むのは、医師であっても容易ではなく、並大抵の勉強量や努力量ではないはずです。

少なくとも、普通にただ画像診断の臨床をやってるだけでは決して書けない代物でしょう。

この内容の幅広さだけ見ても、松村先生の多大な熱意が見て取れます。

先生自身はまえがきで、あくまで一人の臨床医として書いている、と述べられていましたが、いやはや大変なご謙遜だと思います。

 

 

メインコンテンツの文章も全体に極めて丁寧な記述で進行されており、読みやすいです。

特に、ともすればパターナリスティックになりやすいテーマを、そうならないように注意して書かれてる姿勢には好感が持てます。

あくまで、「読者自身が自分で判断する力をつけるための本」なのですね。

医師視点からすると、多少は、簡単すぎる、素朴すぎると思える点もないではないですが、一般向けの書籍であることを考えると、むしろ十分すぎる情報量と言えるでしょう。

総じて、とても丁寧に作られた良書だと思います。

このクオリティの書籍を一冊仕上げられるのは、さすがジャーナリスト、プロの仕事と言わざるを得ません。

 

しかし、最近、江草は書店に足を運んだ時に感じますが、健康関連の書籍コーナーがさすがに目に余る惨状なんですよね。

やれ「○○するだけで治る」だとか、「△△で若返る」だとか。

言論出版の自由は尊重する主義の者ですが、こういう書籍ばかりが棚を占拠するのはあまりにも悲しいのも本音です。

 

そんな中、今回の松村先生だったり、他にも、山本健人(けいゆう)先生であったり、一般の方のために誠実な姿勢で執筆される医師が増えてこられたのは喜ばしい傾向と感じます。

下世話な話をすれば、医師はこういう一般向けの書籍を書くよりも、おいしいバイトを駆け回った方がよっぽど楽に儲かるんですよね。

特に、正確で丁寧であろうとすればするほど、執筆に要する労力は増しますし、刺激的な文句での訴求もできなくなるためにかえって売上が落ちるリスクまであるわけで。バイトしてる方が間違いなく楽ちんです。

それなのに、こうした書籍をわざわざ丁寧に書きおろされるというのは、それだけ熱い気持ちを持たれた先生方である証左だろうと思います。

ぜひ、なんとか書店での「だけで治る」系の書籍を押し返して欲しいものです。

 

 

以上です。ご清読ありがとうございました。

脚注

脚注
1 放射線科医兼政治家ですら何名かいらっしゃるのに

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