ライフジャケットが絶対に必要です

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「ライフジャケットが絶対に必要です」で有名になった、こちらの水難事故防止のQ&Aを久々に読みました。

水難事故等に関するQ&A(よくある質問) - 岐阜県公式ホームページ(河川課)
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といっても今回は物理的なライフジャケットではなく、ベーシックインカムの話をします。

みんなに一律給付されるお金「ベーシックインカム」は、つまり「ライフジャケット」だと考えれば、その意義が分かりやすいのではないかと思いついたのです。

 

 

たとえば、最近読んだとある小説の中で、友人に見栄を張って酔った状態で川に飛び込み、結果、亡くなる登場人物が出てきます。

創作内の話ではありますが、現実でも十分に考えられるシチュエーションですよね。

 

希望者だけ――特に泳げない人や、泳げる自信がない人にだけ――ライフジャケットを配る方式にしてしまうと、ライフジャケットを着用していることが能力や自信の無さの象徴になります。

そうすると、わざとライフジャケットをつけないことで、自信の泳ぐ能力の優秀さ、自信がある様、勇敢な様を誇示する者が出がちです。

結果として、本当はさほど能力がなく自信もないのにつられて見栄を張って、ライフジャケットを着用しない者も出ることは当然考えられるでしょう。

ましてや、大多数の人間がライフジャケットを着けずに泳いでいる川だとすればなおさらです。

そんな状況では、いつのまにか「ライフジャケット」を着用していることが、「臆病者」や「無能」のしるしになりかねません。

実際さきほどのQ&Aでも「ライフジャケットを着けるのが恥ずかしい」という質問も見られています。

 

 

このように、「ライフジャケットを着けないこと」にインセンティブが付くのは、極めて危険です。

誰だって、ミスをすることもあれば、不運に見舞われることもあります。

川を甘く見てはいけないのと同様に、栄枯盛衰の激流に他ならない市場原理経済も甘く見てはいけないはずです。

ならば市場経済においても「ライフジャケットを着けないこと」にインセンティブが付くのはまずいでしょう。

何より、本当に必要な人や本当に必要な時に、「ライフジャケットを着けてない者」が出てきてしまう空気を醸成してはならないでしょう。

なお、ここで言う「ライフジャケット」が何を指しているかは言わずもがなですね。

 

 

周りからバカにされるのを恐れ、見栄を張って溺れてしまう者がでないように。

まだ大丈夫と我慢し続けているうちに沈んでしまう者が出ないように。

つい「ライフジャケット」を着けることや持ってくることを面倒くさがって忘れる者が出てこないように。

そもそも「ライフジャケット」の存在を知らない者がいないように。

 

ために、「ライフジャケット」は絶対に必要なのです。

これが新たなスタンダードです。

 

 

こういうわけで、「ベーシックインカム」という「ライフジャケット」は皆で一律に絶対的に着用することに意義があります。

現状の、まるで「この市場経済で泳げない者」であるかのように自己申告させる方式は、不用意に人々の尊厳を傷つける上、見栄を張らせる点で危険なのです。

 

 

もっとも、ここから先に、じゃあ財源はどうだとか、額はどうするんだとか、まだまだ悩ましい論点はあります。

でも、そうした具体的な論点が問題になるならば、その前段階の抽象的な意義を考える段階は十分にクリアできてるとも言えます。

だから、社会的な「ライフジャケット」すなわちベーシックインカムは必要です――それぐらいはもう言ってしまっても悪くはないのではないでしょうか。

 

 

 

なお、物理的なライフジャケットも川遊びの際には絶対に必要ですので、よろしくおねがいしますね。

 

 

 

以上です。ご清読ありがとうございました。

 

 

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