ゲーム「INSIDE」感想―ダークSF世界観に染め上げられた現代の『スーパーマリオブラザーズ』

「INSIDE」スクショゲーム

ゲーム「INSIDE」クリアしました。

短時間でクリアできる良質ゲームとして噂は聞いていたところ、先日、steamセールでワンコインでお釣りが来るお安さだったので、「つい」買ってしまいました。

噂に違わず、良質なゲーム体験でした。

 

 

「INSIDE」はジャンルとしてはSF風2D横スクロールアクションゲームです。

ただ、敵を倒すようなアクションはほぼなく、どちらかというと見つからないように隠れながら進むゲームです。

頭を使わないと進めない箇所が多いので、アクションといってもパズル要素が高めです。

 

冒頭、ゲーム起動から間髪入れずに、暗い森の中からすぐさまゲームがスタートします。

主人公は赤い服を来た子ども。プレイヤーは彼を操作してひたすらに右に進み続けます。

操作は極めてシンプルで「十字キー」と「物をつかむ動作」だけです。

PCではなんと片手だけで操作できてしまうので、江草は左手でコーヒーを飲みながらプレイしていました。

 

 

本ゲームの特徴は、一切のテキストや声での状況解説がないことです。

なぜ主人公は森の中に居たのか。

なぜ追われているのか。

なぜ隠れなきゃいけないのか。

《彼ら》はいったい何者なのか。

全く説明はありません。

 

ただ、徹底して暗く物々しい、そして、時に美しく荘厳な風景の中を主人公は駆け抜けるのみです。

ですが、進んでいるうちに描写される刺激的な各種イベントから、プレイヤーはこのゲームの異様な世界観に次第に気付かされることになります。

 

「こいつはヤバいところに来てしまったな」と。

 

背中にたちこめてくる恐怖とスリルの中、それでもプレイヤーはあまりにも思わせぶりな世界観に「進んだこの先に何があるのか」が気になって、つい先を急ぐことになります。

 

そして、いよいよ最後に待つ驚愕のフィナーレ。

 

たかだか3~4時間でクリアできるボリュームですが、確かに大変濃密なゲーム体験でした。

 

 

このゲームの秀逸な点はなんといってもゲームのデザインでしょう。

全く言葉による説明がなくとも、プレイヤーが何をするべきか自然と「発見」できるように丁寧に設計されています。

初見ではあえなく死んでしまうところ、進めなくなってしまうところも、少し考えれば「気付ける」ようにうまく仕掛けられています。

さりげなく大事なところに光が差していたり、赤く色塗られていたり、さらりとした親切さがとても心地良いです。

 

簡単すぎたら面白さや達成感がありません。だから、初見ではほぼ確実に死んでしまう仕掛けも多くあります。

しかし、全くどうやったら進めるのかお手上げだったり、アクションが難しすぎて何度も死ぬと、プレイヤーはげんなりしてゲームを止めてしまいます。

簡単すぎも難しすぎもならないような絶妙の難易度設計には常に唸らされました。

死んでしまった時には直前のポイントに一瞬で戻って、速やかにやり直しになるのもうれしい仕様です。頑張って進んだのに大分前のポイントに戻されるゲームも少なくないですが、このゲームではほんとに直前に戻るので、やり直しストレスが極めて軽いです。

 

 

以上をまとめると、「INSIDE」は、言葉による説明がないにもかかわらず自然とゲームの目的を理解できて、ほどよい歯ごたえで楽しみながら進んでいけつつ、独特の世界観と美しいグラフィック、そして時に起こる衝撃的な展開により、全くプレイヤーを飽きさせないゲームと言えます。

高評価も頷ける良作といえるでしょう。

 

 

ところで、この秀逸なゲームデザインですが、江草はプレイ中、何かデジャブのようなものを感じてたんです。

確かに初プレイのゲームのはずなので、「どうしてだろう」と考えていたのですが、思い当たりました。

江草にデジャブ感があったのは、玉樹真一郎氏がゲームデザインを解説した書籍『「ついやってしまう」体験のつくりかた』で示されていた「体験デザインの法則」に、このゲーム「INSIDE」がとことん当てはまってるからでした。

 

「ついやってしまう」体験のつくりかた――人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ
ついやりたくなる、つい夢中になる、つい誰かに言いたくなる。この「つい」こそ&...

 

説明がなくとも「右に進むゲーム」と自然と認知できるデザインは、書籍内で解説されていた「スーパーマリオブラザーズ」と瓜二つの「直感のデザイン」。

また、次々に現れる新たなパズルと、驚きのギミックやイベントは「驚きのデザイン」。

そして、主人公に自然と感情移入するつくりと、ゲームのあの「最終地点」により「ユーザー自身の物語」が描き出される「物語のデザイン」。

まさしく、完璧に「体験デザインの法則」に沿ったものになってます。

 

これだけの王道の法則を押さえているならば、ゲーム体験として面白いのも当然ですね。

逆に言えば、それだけ玉樹氏の指摘する「ゲームデザインの要所」が的確だったとも言えますが。

 

過去の読書の内容が、正夢のように実際にゲームとしてプレイできたのは、読書体験とゲーム体験が融合したまた新たな感覚でした。

 

 

正直言うとグロい描写もあるので、人を選ぶゲームですが、短く安く簡単にプレイできる良作です。

「INSIDE」

おすすめですので、気になった方は、ぜひプレイしてみてはいかがでしょうか。

 

以上です。ご清読ありがとうございました。

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