「情報」を加えた四権分立を妄想してみた

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ワクチン大規模接種の予約サイトのずさんな仕様をめぐって、大荒れの世の中模様ですね。 

コロナ接触確認アプリ「COCOA」の失敗といい、最近の政府関係の情報システムはいい話がありません。

 

天才プログラマーのオードリー・タン氏を擁する台湾の高度なITシステムのニュースを横目で見るに、立て続けの失敗の原因としては、実のところ日本政府のIT系の能力不足というのが大きいのでしょう。

 

ただ、一方で、日本政府は「個人情報を一元的に持てない」という重大な制約があるという指摘もあります。

 

政府向けシステムに関わったことがある身からすると、政府向けシステムの話をするときに前提として知っておいてほしいことは、住基ネット最高裁判決に「現行法上,本人確認情報の提供が認められている行政事務において取り扱われる個人情報を一元的に管理することができる機関又は主体は存在しない」という骨子があること。これによって政府向けシステムは個人情報を一元的に管理できず、個人情報は各自治体で分散管理しかできない。この文面でググれば政府がどれだけこの骨子を気にしているかは分かると思う。

今回の話は「国民マスターテーブルを持たずに認証するにはどうすべきか」という政府向けシステムで常に挙がる課題で、良いアイデアがある人は政府に提案しにいってほしい。

https://anond.hatelabo.jp/20210520175754

 

これを聞くと、ワクチン予約サイトの関係者各位にも同情せざるを得ません。

たとえて言えば、これは患者IDなしに病院の診療予約管理をしろというようなものです。

なかなかの無理難題ではあります。

 

 

しかしマイナンバー制度も一向に有効に活用されてる気はしませんし、こうなるともはや大掛かりな構造的な改革が必要なのではないでしょうか。

 

一応は、政府も手をこまねいているわけではなく、デジタル庁が今秋に発足する予定にはなっています。

ただ、これでもまだ現行の体制の延長線上にすぎない心配が個人的にはあるんですよね。

 

 

以下、素人の戯言として聞いてほしいのですが、もはや現代社会において「情報」の価値や地位が極めて重大なものになってしまった以上、「情報」を扱う部門を庁レベルなどにとどめず、いっそのこと「権」、すなわち三権分立から一権増やして四権分立の一角としての立場を与えてしまってもいいのではないでしょうか。

 

「立法」、「行政」、「司法」に、「情報」を加えた、いわば四天王です。

 

 

 

わざわざ四天王にするメリットとしては、まず、情報管理の権限を時の政権から分離独立させることが明確化できます。

マイナンバーにせよなんにせよ、結局のところ個人情報を政府に渡した時に悪用、濫用されるのではないかという不信感が問題になっているわけです。

だから、国会や裁判所のように、内閣や省庁から独立した存在として「情報管理を担う機関」が立てば、多少なりともその不信感を軽減できるはずです。

 

もちろん、現時点でも「司法が政権に忖度してる」という疑念の声はよく聞きますので、四権分立といいながらちゃんと分離独立できるのかという問題はあるでしょう。

ただ、少なくともデジタル庁のように省庁として行政機構の中にすっぽり収まってしまうよりはマシではないでしょうか。

 

たとえば、以前より、政治の汚職を問う事件なんかで、公文書を廃棄したり隠蔽したりと政府が情報をごまかす体質が問題となっています。

こうした悪癖を防ぐためにも、政府から明確に独立した情報管理機構に、公文書等の重要文書をただちに確実に提出することを義務付けてしまってもいいかもしれません。

情報の提出を怠った瞬間に、弾劾裁判のように時の政権を覆せるような処置が発効するような仕組みを取り入れてしまいましょう。

現行の公文書管理制度で無視されるのであれば、いっそ「情報」を四権分立レベルまで格上げしてしまって、しっかりとその責を問うのです。

 

 

また、四権分立を明確にすることで、堂々と自治体レベルでなく国レベルでの情報システム構築に着手できるようになるのもメリットでしょう。

結局のところITのパワーは、ある程度広く共通のシステムやプラットフォーム、プロトコルがあってこそ発揮されるので、IT活用を図るというなら国レベルでの大規模な基盤の構築は不可欠です。

医療界の電子カルテなどのシステムも各地でバラバラなのはほんとどうにかしてほしいところです。これもまさしく共通基盤がちゃんと構築されてないために力が発揮できていない好例でしょう。

 

 

 

さらなる妄想を許していただければ、オープンソースの仕組みも導入してしまうのも面白いんじゃないでしょうか。

つまり、政府のシステムのソースコードをある程度オープンにしてしまうわけです。

 

もちろん、セキュリティ的にクリティカルな部分は公開するのはダメですよ。

でも、できる限りソースをオープンにして開発した方が、かえってバグや悪用も避けられる面もあるのではないでしょうか。

 

それにオープンである方が、「情報」という重大な「権力」を国民自身も管理するという民主主義の理想にも近いと思うのです。

 

 

 

とはいえ、もちろん、四権分立なんてやろうとすれば課題山積でしょう。

そもそも、憲法の改正も要るレベルなので、正直現実化は厳しいかと思います。

まあ素人の妄想です。

 

でも、このまま現行の体制で情報戦略を行ってもうまくいきそうな気もしないのも事実なんですよね。

だから、せめて夢は大きく抱かないと。

 

 

 

 

以上です。ご清読ありがとうございました。

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