おはようこんにちはこんばんは、江草です。
今日はプライムビデオでたまたま観てみた映画「ゲット・アウト」がなかなか良い作品だったので紹介します。

ハラハラさせるサスペンス・スリラー
「ゲット・アウト」はジャンルとしてはサスペンス・スリラーあたりでしょうか。
ホラー的要素はありつつも、いわゆるオカルト・グロ的なホラーではありません[1]ただ、一部流血表現などのグロはあり、R18指定です。
言う慣れば「人間の怖さ」を描く系のホラーです。
ものすごくざっくりしたあらすじ(ネタバレ無)
あらすじは公式系で丁寧なものが山程ありますが、一応ここでもざっくりと説明しておくと。
主人公の黒人の男性が白人の彼女さんの実家に招かれます。黒人の彼氏であることを受け入れてもらえるか緊張している主人公。懸念をよそに丁寧に歓迎はされますが、滞在中どうも色々と違和感を抱かせる出来事が続き・・・。
というストーリーです。
彼女の実家に訪れるというだけで冷や汗をかくシチュエーションなのに、人種差もあったら、そりゃピリピリしても仕方がないですよね。
そんな緊張感のあるシチュエーションの中で、進行する恐怖体験。手に汗握りました。
全体的に脚本がうまく、ちょうどよく観客をリードして違和感を抱かせつつ、丁寧にその真相を暴いていく流れはうならせるものがありました。
で、単純に映画として楽しませてくれつつも、なかなか考えさせられる映画としても高評価です。
ここからは、少しネタバレを含みますので、ネタバレを読みたくない方はここでおやめください。
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社会の差別のありようの複雑さを考えさせられる映画
この映画の面白い点は、社会の差別のありようの複雑さを暴き出したところもあります。
肌の色や肉体は肯定、文化や人格は否定、という形の差別
結局この映画での悪玉の狙いは「身体能力の優れた黒人の肉体」でした。
逆に言うと黒人の文化や人格といった「精神面」すなわち「脳」は不用品扱いです。
私たちは普段、人種差別と聞くと「肌の色による差別」などの身体の外観的な要素に基づく差別をイメージしています。
しかし、「肉体」などの目に見える要素は好意的に肯定的に受け入れつつも、目に見えない文化や人格については否定するという形の差別があることを、この映画は私たちに衝撃をもって感じさせてくれたように思います。
無形のものに対する差別は見えにくい
最近、人種差別はよくないということで、様々な人種の方が出演する映画作品や広告が増えました。
確かにそれはそれで大事なことではあるでしょう。でも、逆に私たちが「外観ばかりを気にしてる」可能性も注意しなければいけないのではないでしょうか。
いくら色んな人種や民族の方が集まっていても、同じ言葉を同じようにしゃべり、同じ文化や価値観に基づいて同じように食べ、同じような作法に従っていたら、そこに多様性は感じられません。
外見だけいくらバリエーションがあっても「居心地の悪い統一感」「違和のなさすぎる違和感」がそこにはあるのです。
文化や人格といった無形のものに対する差別は見えにくいものです。形がないのだから当然といえば当然です。
そんな見えにくいものだからこそ、意識的に見ようとしておかないと、すぐに忘れてしまいます。
というか、実際私たちはそうした無形の差別の存在を本当に忘れているのではないでしょうか。
それでほんとうにいいのでしょうか。
今回鑑賞した「ゲット・アウト」は鑑賞後もじわじわとそうした肌寒い怖さを感じさせてくれる良質の映画だったと思います。
以上です。ご清読ありがとうございました。
脚注
↑1 | ただ、一部流血表現などのグロはあり、R18指定です |
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