もはや重症の資本主義システムへの処方箋を探る対談『改革か革命か』読んだよ

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『改革か革命か 人間・経済・システムをめぐる対話』を読みました。

経済学者トーマス・セドラチェク氏と、人類学者デヴィッド・グレーバー氏の対談をまとめた書です。

 

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対談のテーブルに載せられているのは「資本主義」です。

それも「資本主義の是非」どころの話ではありません。

現行の資本主義システムが重症に陥っているのはもはや両者の共有の前提で、この資本主義の危機に対してどう対処するかがテーマになってます。

 

資本主義を何とか大手術して救命するか、もしくは、もういったん別の形のシステムに抜本的に作り直すか、という二択です。

タイトルの『改革』と『革命』はこの二択を表しているわけですね。

 

 

実はこの対談2013年に行われたもので、7年遅れで邦訳された代物です。

そのため、今となっては少し懐かしい香りさえある「オキュパイ運動」の話がよく出てきます。

それでいながら、現在でも十分に通用する鋭い議論がなされており、二人の慧眼に驚かざるを得ないです。

 

両者の知性あふれる意見交換は大変おもしろく、常に知的好奇心を刺激されっぱなしでした。

ところどころ、ホラー映画に例える話が出たり(資本主義は「魂のないゾンビ」だそうで)、お二人の教養とユーモアの深さがうかがえます。

もともと江草がファンなのもありますが、特にグレーバー氏の洞察は全体的にうなずける部分が多かったです。

相変わらずの類まれなる才能を目の当たりにして、つくづくグレーバー氏の昨年の急逝が惜しまれます。

 

 

本書の欠点を挙げると、訳が少し固くて読みにくい感触はあります。

ただ、違和感はありつつも、文意がとれないほどではありません。

これは対談という形式による読みやすさのメリットの方が勝ったところでしょう。

 

 

いずれにせよ、すぐ読めるボリュームでありながら、資本主義の問題点のエッセンスが詰まってる一冊で、総合的には読んで良かった本です。 

「資本主義を今後どうしたものか」というのは、世界規模で現在進行系のトピックなので、教養としても市民の責務としても本書でさらりと把握しておいても良いかと思います。 

修正資本主義か、脱成長コミュニズムか、人類の運命の岐路は意外と近くに迫ってるかもしれませんよ。

 

 

以上です。ご清読ありがとうございました。

 

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