日本専門医機構は脱法ブラック団体

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おはようこんにちはこんばんは、江草です。

今日は、日本専門医機構の「ブラック企業」的な姿勢を批判していきます。

 

更新のための要件追加で炎上する専門医機構

日本専門医機構が炎上しています。

発端はこちらのニュース。

 

専門医の更新制度、医師不足地域での1年間勤務を要請へ  専門医機構 | MEDIFAX web(メディファクス ウェブ) - 医療の総合情報サイト
取材に答える寺本理事長  日本専門医機構は、機構認定の専門医の質確保に向けて実施する更新時審査で、医師不足地域での1年間の勤務を求める制度設計の検討に入った。更新時審査はe-ラー…

 

日本専門医機構が、専門医の更新に医師不足地域(≒僻地)での1年間勤務の要件を盛り込もうとしているという衝撃的な報道で、ネット上の医師クラスタに激震が走りました。

もとより「専門医資格に僻地勤務がどう関係するのか、本当に必要なのか」と疑問や批判の声が絶えなかったポイントでもあり、ただでさえ現状の複雑で面倒な制度設計や急な追徴課金などで辟易していた医師たち皆さんの堪忍袋の緒がついに切れてしまった状況です。

江草ももちろん、この報道に驚きと怒りを覚えた1人です。

しかしながら、まだ一記事のみの報道でもあり、日本専門医機構からの公式発表もないようなので、今回の「更新時の僻地勤務要件」の是非の議論は今は控えておきます。

 

ただ、ちょうどいい機会ですので、日本専門医機構がいかに小狡いブラックなやり方をしてしまっているかについて、批判を試みたいと思います。

 

独占的立場からの要求というブラックしぐさ

日本専門医機構とブラック企業の共通点として、「独占的立場から要求を行ってくる点」が挙げられます。

実のところ専門医資格というのは、医師にとって取得が強制されているものではありません。

ですので「制度に文句があるなら取らなければいい」という意見も見られます。

 

 

確かに強制されている資格ではないので、「嫌なら取るな」は1つの考え方としてはあるとは思いますが、こと専門医制度に関しては江草はこの考え方には反対です。

 

例えば放射線科医では顕著ですが、事実上、専門医資格がその業務を行う上では必須となっている科も存在します。そうした科の仕事をしたいと思った場合、半強制的に専門医制度に乗らなくてはいけなくなります。

また、専門医資格がまだ必要な科でなくとも、研修に適した有力施設が軒並み制度上の研修施設に回収されていることを考えると、専門医制度に依らずに専門的な勉強を行おうとする者は選択肢がきわめて狭まってしまうことになります。

 

もちろんそうした選択肢の幅が狭まってしまうことも踏まえた上で自己責任として「嫌なら取るな」と言うのかもしれませんが、これこそまさに「ブラック企業的しぐさ」なんですよね。

「アットホームな職場ですよ」「やりがいありますよ」などと甘言を弄して誘い込んでおきながら、いざ入った途端に「自分で選んだ道だろ」「嫌なら辞めれば」などと言って、不本意な過重な業務を押し付けてくるのはブラック企業の常套手段です。

 

みなさんご存知の通り、医師になる者は大変な苦労と時間をかけて道を歩んできています。医学部受験しかり、医学部内の勉強や卒試、国試、臨床研修などなど、ほんと大変な道のりです。

こうした過酷な道のりを歩むには「人を助けたい」「○○科の診療に携わりたい」「△△病を治したい」などの情熱や夢が少なからずあってこそ成し遂げられるものでしょう。

では、そうした情熱や夢をもっている者に対して、「嫌なら今までの苦労を水の泡にするぞ、その夢を奪うぞ」と言わざるを得ないほど代替選択肢が乏しい状況下で、不本意な活動を半強制的に要求するのは果たして適切と言えるでしょうか。

これこそまさに「やりがい搾取」の構図ではないでしょうか。

 

ビジネスの世界でも独占禁止法が制定されていることから分かるように、相手の妥当な代替案を封じることができる独占的な立場にあるものが、その立場を利用して相手に過大な奉仕を要求するのは、本来望ましくないと考えられてるのは明らかです。

特に、専門医制度はただの民間資格ではなく、厚生労働省も肝いりで整備されていることから事実上の公的資格です。 

公的資格に関わる制度であるからには、それに相応しい態度や内容の妥当性が必要で、「嫌なら取るな」という強権的な態度を前提としてはいけないと考えます。

しかも、専門医制度は、専門医療という国民の生命や健康にも関わる大事な制度です。「強制で取れという資格でないからいいでしょ」というわけにはやはりいかないのではないでしょうか。

 

過去、大学紛争がおきた要因として、医師に対するこうした行政や大学の独占的立場の濫用があったと言います。

日本専門医機構や厚生労働省はその混乱の時代の反省をぜひ活かしてほしいと思います。

 

プロフェッショナルオートノミーという欺瞞

もうひとつ日本専門医機構とブラック企業の共通点を挙げると「要求される側の発言権がないこと」です。

 

そもそも先程のような「嫌なら辞めれば」という発想が生まれる背景には、その要求に対して交渉や議論ができない極端な状況設定があります。

交渉や議論ができるのであれば、いきなり「辞める辞めない」の話にならず、お互いが納得でき公的にも便益があると考えられる条件設定を一緒に考えることから始めるでしょう。

 

しかし、現状、ほとんどの一般専門医にとって、日本専門医機構から次々とトップダウン式に専門医取得や維持のための要求が決定事項として突きつけられるばかりで、それに対して意見することや拒否することができません。

このようにトップダウン式の強権的な要求に対して発言権がなく従うか辞めるかの二択しかない状況は、まさしくヒエラルキーの著しいブラック企業の体質と同類と言えるでしょう。

しかも、事実上、一般医師に発言権がないにもかかわらず、プロフェッショナルオートノミーという「専門職の自律」をいけしゃあしゃあとスローガンに掲げているのですから、これは欺瞞という他ありません。

 

もしかすると、機構の主要構成員が医師にしており、また、学会を通して一般医師の意見を吸い上げていることでプロフェッショナルオートノミーを実現しているのだ、と主張されるのかもしれません。

 

でも、みなさん、日本専門医機構の理事を選んだ記憶ありますか?

専門医制度設計案に意見をしたり、議論をさせてもらえる機会がありましたか?

もしあったとして、その意見は通りましたか?

 

どうも江草には意見を公式に尋ねられた記憶がないのです。 

もしかしてそうしたパブリックコメント的な機会がこっそりあったのかもしれませんが、江草は寡聞にして知らないですし、あまりにも多くの人がその機会を知らないのであれば、周知の徹底という意味で問題があるでしょう。

 

学会を医師の代表として扱う点についても、学会の理事選挙も知ってる人は知っての通りザル選挙ですから[1]票がいつのまにか回収されたりします、申し訳ないですが正直代表の正当性があるとは思えません。

 

少なくともプロフェッショナルオートノミーと言うからには、特に専門医制度から受ける影響が強い、専攻医や研修医、医学部生レベルの若手の発言権を担保する仕組み作りや、学会の理事選挙の不正防止や秘密投票を徹底していただいてからでないと話にならないと思います。

 

日本専門医機構は脱法ブラック団体と言わざるを得ない

このように、「独占的立場から要求を行ってくる点」と「要求される側の発言権がないこと」という二点から、日本専門医機構の姿勢が「ブラック企業」的であることは否めないと考えます。

このブラックな姿勢の上で、「あくまで強制ではないですよ」という体で違法性を避けながら、居住・移転の自由を侵害するような僻地勤務要件を要求をしてくることは、確信犯[2]誤用ですが、便利なので・・・的に脱法行為をしていると言っても過言ではないでしょう。

 

以上のことから、あえて厳しい言い方をすると、日本専門医機構は脱法ブラック団体と言えます。

 

この状況は同じ医療界の一員として非常に恥ずかしいものですし、一般医師の支持を得ていない専門医制度の混乱や迷走は国民の生命や健康にも不利益が及びかねない重大な問題です。

早急にその態度を改めていただきたいと切に願います。

 

……さて、既にだいぶ長くなったので今日のところはこんなとこでしまいますが、まだ日本専門医機構の基本姿勢しか批判できてないですね。

まだまだ専門医制度設計の考え方などにも問題があるように思うので、また折をみて書いてみようかなと考えてます。

 

以上です。ご清読ありがとうございました。

脚注

脚注
1 票がいつのまにか回収されたりします
2 誤用ですが、便利なので・・・

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