> [!NOTE] 過去ブログ記事のアーカイブです 世の中、議論がかみあってないことが多いなあと感じます。 お互いそれぞれ個別では一理あることを言ってるのに、議論の焦点がズレてるせいで建設的な議論になってない。これはもったいない話ですよね。 でも、こういうことが頻発してしまうのは、議論の焦点というものが、パッと分かりにくいせいじゃないかなと思うんですよ。 たとえば、「たけのこの山」「きのこの里」というお菓子があったとして。 ここで「たけのこの山は、きのこの里より美味しいから買うべきだ」との主張をしてみましょう。 すると、いくつも反論や疑問が想定できますね。 たとえばこんな感じで。 1. 「たけのこの山」の定義は?あなたが指してるものは本当に「たけのこの山」ですか? 2. たけのこの山がきのこの里より美味しいとする根拠は? 3. きのこの里の方がたけのこの山より美味しい。なぜなら~だから。 4. たとえたけのこの山がきのこの里より美味しいとしても買うべきと言えるだろうか? 5. どちらを買うべきかなんてどうでもいい話だ。それよりもっと議論すべきことがある。 ⠀ どれも、それぞれ主張に対してちょっとずつ注目してる焦点が違います。 3番が一番真っ向から歯向かってる分かりやすい反論でしょう。 1番や2番は、主張を正確に把握するために、言葉の意味や根拠を深堀りしようとしています。 4番は前提を認めた上で、結論が論理的に妥当に導けるかを尋ねています。 5番は身も蓋もない論ですね。ただ、議論すること自体の意義を問うことは時に必要な場面もあります。 これらは、それぞれ話の焦点が異なるので、それぞれに対する回答は自然と異なってくるはずです。 しかし、反論の焦点を意識してなかったり、お互いの話にノイズが多かったりすると、よくわからなくなって、どんな反論に対しても「なんだと、たけのこの山がきのこの里よりマズイって言うのか?たけのこの山は明らかに美味しいだろう」と強弁しちゃったりします。なお、この再反論はせいぜい3番の反論にしかかみ合ってません。 ただ、実際のところ、きっちり再反論するために必要な、議論の焦点を整理する作業が面倒なのも確かです。 だから、議論の構造がパッと分かるようになる方法ないものかなあと、江草はつねづね思ってるんです。 それで、最近ちょっと思いついたのが、コンピュータ間のネットワーク情報通信の規格で有名な「OSI参照モデル」です。 OSI参照モデルでは情報通信の構造をきれいに7層に階層化しており、通信に問題が起きた時にどのレベルでのエラーか問題を切り分けやすくなってます。 それぞれの階層での役割や作業がはっきりと分かれてますし、情報の呼称も異なります。 これによって、IPアドレスの問題なのか、ケーブルが断線してないのか、など整理しやすく、他の人と通信トラブルの内容についてコミュニケーションする時に便利なのです。 で、議論の整理の場面でも、こういうひと目で分かりやすい層別化された参照モデルがあったらいいなあと思うのです。 たとえば適当に名付けると、「定義層」とか「根拠層」とか「論理層」みたいに。 「言葉の意味」や「根拠」を深堀りしていく時は下の層に降りていって、逆に、「たとえそうだとしても」と主張自体の意義を問う時は上の層に登っていくイメージです。 こういう参照モデルがあれば、「『根拠層』についての疑問なんですが」とか「『定義層』については分かりました」とか、お互いにどの話をしてるか簡単に切り分けられて、議論のすれ違い防止に役に立つのではないでしょうか。 人と人との議論も、いわば「情報通信」みたいなものですし、なんとかこういうモデルできないでしょうかね。 といっても、江草が不勉強で知らないだけで、すでにありそうな気もします。 それともやっぱり、コンピュータ通信よりも人間の議論の構造の方が複雑だから難しいのかも。 以上です。ご清読ありがとうございました。 #バックアップ/江草令ブログ/2021年/4月