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おはようこんにちはこんばんは、江草です。
今日は、井上純一氏の漫画「がんばってるのになぜ僕らは豊かになれないのか」の感想文です。
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## 楽しく読める経済の話
過去にも「キミのお金はどこに消えるのか」のタイトルで経済漫画の秀作2編を出されていた井上氏。
今回新作が出たとのことで、早速購入しました。
本作では、
* 「保育士さんの給料が安いのはなぜか」
* 「日本の公務員はなぜ優しいのか」
* 「マスクの高値転売の是非」
* 「なぜ給付金を配った分、増税してはいけないのか」
* 「なぜ日本は豊かさを捨ててしまったのか」
などなど、身近な疑問から経済のあり方を紐解いてくれます。
相変わらず、本当は奥が深いテーマを扱いながらも、井上さんご夫婦の漫画内での掛け合いがコミカルで、楽しみながら読めるのがとても良いですね。
つくづく、漫画というメディアの表現力の深さを感じます。
主張的には、前二作と大きく変わるところはないのですが、最新の社会情勢を踏まえた時事ネタにも対応してるので、読者の興味がわきやすい構成ではないでしょうか。
## 反緊縮派の視点を学ぶきっかけとして
注意しておきたいのは、井上氏はいわゆる反緊縮派[^1]として積極的に発信されており、本作も例に違わず反緊縮派の視点からの漫画であることです。
あくまでサラリと読める漫画でもあり、理論的厳密さまで追求された本ではないので、この漫画の言い分をそのまま鵜呑みにするのはもちろん危険ではあります。
しかし、普段何気なく通り過ぎてしまいがちな経済の問題を自分の頭で考えたり、代表的な現行経済政策に批判的なグループである、反緊縮派の視点を学ぶきっかけの一冊として非常に良いのではないでしょうか。
実のところ、江草自身も反緊縮派の主張を好意的に思う立場でもありますので、「財政赤字を避けるためとして安易に増税することの危険性」についてはもっと広く考えられてほしいなと思います[^2]。
## 「なんとなく」ではもう済まない
作中で経済政策の最大の敵として紹介されてる「なんとなく」。
「なんとなく借金は少ないほうがいい気がする」
「なんとなくお金は使わないほうがいい気がする」
まさに絶対無敵ハイパーウルトラ難問”。
でも、もう日本経済は待ったなしのヤバみあふれる状況です。
こんな大事な問題、「なんとなく」ではもう済まない状況ではないでしょうか。
だからせめて、みんなが「なんとなく」の状態ぐらいはやめるためにも、こうした本をきっかけに経済の議論が深まるといいなあと思っております。
以上です。ご清読ありがとうございました。
#バックアップ/江草令ブログ/2021年/3月
[^1]: 財政赤字にこだわらず積極的に財政政策を打つべき派
[^2]: なお、江草としては反緊縮の方針にも限界や問題点は思い当たるので、100%正しいとまでは言いません。ただ、このまま中途半端に緊縮的に行くより相対的には遥かにマシなのではと考えてます。