2021年も年の瀬も年の瀬なので、今年読んだ本で良かったものを振り返ってみます。
今年ベストの一冊『誰の健康が優先されるのか――医療資源の倫理学』
個人的に今年読んだ本の中で一番良かったなと思うのは『誰の健康が優先されるのか――医療資源の倫理学』ですね。
限られた医療資源をどう分配するのが倫理的なのかという非常に難しい議論を丁寧に解説してくれた良書です。
コロナ禍が残念ながら引き続き収まらない中、病床やワクチンを始めとする医療資源をどう分配するかは、政界や大衆も含めて大きな議論となりました。
診療報酬改定でも費用対効果分析の重要性が強調される中で、今後とくに医療従事者は必ず押さえておくべき内容かと思います。
非常に勉強になった一冊で、今年ベスト認定です。
以前、感想記事も書きました。
小説部門ベスト『正欲』
小説では朝井リョウ氏の『正欲』が圧巻でした。
昨今では「多様性が大事」と各所で唱えられるようになっています。
しかし、その多様性の尊重というのがいかに難しいチャレンジなのか、まざまざと突きつけてくる傑作です。
こんな難しいテーマを理屈で説明するのではなく見せて分からせてくれる物語のパワーの凄まじさを痛感した一冊です。
以前、感想記事も書きました。
社会派部門ベスト『実力も運のうち 能力主義は正義か?』
社会派部門のベストではマイケル・サンデルの『実力も運のうち 能力主義は正義か?』を挙げておきます。
「能力がある者(功績がある者)こそが良い待遇や報酬を受けるに値する」とする能力主義は世の中では常識とみなされていますが、サンデルはこの能力主義の考え方に潜む問題点を厳しく批判しています。
賛否両論巻き起こっていますが、社会に大きな問題提起をされたという意味で重要な一冊と感じました。
以前、感想記事も書きました。
なお、日本における同様の問題提起を読みやすい文体で書いてるものとして橘玲氏の『無理ゲー社会』も面白かったです。
ポピュラーサイエンス部門『もっと!』
ポピュラーサイエンスの本『もっと!』がとても面白かったです。
期待や想像を司るホルモン「ドーパミン」と「今ここ」を大事にするその他の「H&Nホルモン」の対比を軸に人間の行動心理を紐解く意欲作です。
私たちが日常感じてる「あるある」をドーパミンの作用で華麗に説明してくるのがお見事でした。一種の「アハ体験」感があります。
一度読むと、日々のアレもコレも「ドーパミンのせいかも」と思えることばかりになります。
ドーパミンでここまで説明がつくものかどうかは、本当のところはしっかりと科学的に吟味する必要があるでしょうから話半分に聞くべきですけれど、それを差し引いても人間の行動を見る上で大変に面白い視点を提供してくれる一冊でした。
自己啓発部門『すべてはノートからはじまる』『TAKE NOTES!』
自己啓発的な本で言えば、ノートやメモの大切さを解説してくれた『すべてはノートからはじまる』『TAKE NOTES!』の二冊が非常に良かったです。
学生時代あんなにノートを使っていたのに、大人になってからちゃんとノートを使ってる人は少ないですよね。
しかし、それがいかにもったいないことか、この二冊が教えてくれました。
読んだ瞬間から、「ノート取りたい」「ノート書かなきゃ」とすぐに行動したくなるワクワク感がありました。
心構えだけでなくメソッドも丁寧に解説されてるので助かりました。
これを読んで江草もノートをちまちまつけはじめました。分量はまだ心もとないですが、とても楽しいです。
なにか良い習慣を身に着けたいなと考えてる方に非常にオススメな二冊です。
読書は楽しい
というわけで、今年の良かった本は以上です。
他にも良い本はあるので悩んだのですが、できるだけ厳選するとこんなラインナップになりました。
今年は子どもが生まれて忙しくなってなかなかブログ更新や読書もはかどらなくなってしまいましたが、ひとときのリフレッシュとしてスキマ時間に読書は続けています。
読書は楽しいので、来年も引き続き読んでいきたいと思います。
それではみなさん良いお年を。
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